青リボン6858のブログ

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TOMIX 221系 簡易レビュー(KATOとの比較・加工あり)

先日TOMIX221系を購入したので、その簡単なレビューです。
KATOとの比較、(KATOの)加工例も載せています。

221系の模型について

221系の模型(Nゲージ)は、以前よりKATOから未更新車が発売されていました。ただ昔からある製品のため、現在の水準でのユーザー要望に応えきれていない部分があったと思います。

2018年には同じくKATOから更新車が発売されましたが、未更新車については特に模型のリニューアル等はありませんでした。

そして2023年に、TOMIXから221系未更新車が発売されました。KATO1社のみからしか出ていなかった車両、しかも現行水準での模型化とあって、期待したユーザーも多かったのではないかと思います。


2023年7月、ジョーシンスーパーキッズランド本店で展示されていたTOMIX221系の試作品

 

製品について

今回のTOMIX製品は、一部の台車にヨーダンパが追加(1998年以降)され、先頭車のスカート下部が延長(2004年から)された姿が再現されています(※公式ホームページの製品情報および取扱説明書より)

221系は2000年頃に新快速運用から撤退(※これも公式HPおよび取説から)したため、それ以降の主に快速として運用する時代が模型化されています。

導入当初の最速達運用からは外れた時期がモデルとなっている点が興味深いです。新快速撤退以降・かつリニューアル前となると、自分を含めた20代(~30代前半あたり?)をターゲットにしているのかもしれません。

製品は基本セットA(4両)、基本セットB(6両)、増結セット(中間車4両)が発売されましたが、自室のレイアウトの規模にちょうど良い6両の基本セットBを購入しました。



パッケージは一般的なブックケースです。説明書、注意書き(黄色い紙)の他、車番等のインレタと前面表示パーツが付属しています。

 

車体各部

※以下に載せるTOMIX製品の画像は、いずれも付属インレタを貼り付けていない購入時そのままの状態です。なお前面表示パーツは製品出荷時点でアンダーライン無しの "快速" がセットされています。


編成を組んでみた様子。

※以下の画像のヘッドライトの色は、実際の模型と多少異なって見える場合があります(肉眼では電球色ですが、画像ではやや白っぽく写っています)。




ライト点灯状態。良い感じです。


比較用に実物画像。

ライト部分は今回のTOMIX製品で一番期待していた部分です。電球色のヘッドライトを点灯した様子はまさに "221系の顔" という感じです。

前面の種別表示・運番表示も点灯します。これで運転室がシースルー構造なので大変良いと思います。

前面貫通扉のモールドがやや薄い気もしますが、墨入れをすれば自然な感じになるでしょう(車体各部のモールドの薄さは他のTOMIX製品でもよく見られます)。

ライト部分の構造を見てみます。



光源の白色LEDがヘッドライト用・テールライト用に上下2段あり、それぞれプリズムで導光します。画像ではヘッドライト用プリズムがケースに隠れていますが、電球色に光るよう着色されているものと思います。

その他種別・運番表示用のプリズムが運転室-客室の仕切り部分で垂直に立ち上がっています。このプリズムは室内にそのまま露出する構造で、この部分から若干の光漏れがあります。

その後ろにはスイッチがあり、通常のヘッドライト/テールライト点灯と、(先頭車同士を連結した際の)進行方向に関係なくヘッドライトを常時点灯する状態とを切り替えることができます(完全なライトOFF機能は無し)

続いて側面を見ていきます。


側面を真横から。


実物画像(更新車ですが…)。

白く丸みを帯びた車体に大きな窓という、221系の雰囲気がよく再現されていると思います。細部の形状についてもよく出来ていると思います。

クーラーが屋根から若干浮いていますが、実物画像をネットで見たところ同様になっているので、それを再現したのだと思います。


側面の窓をよく見てみると、中央2枚の窓枠の上側がやや太くなっています。実物の221系はこの部分の窓が開閉可能(下降窓)なので、それを再現しているのだと思います。


屋根上。雰囲気は良いと思います。

車体各部は実物の221系の雰囲気がよく再現されていると思います。

無理やり粗を探すとすれば、個人的に気になるのは半自動ドアボタンの印刷表現でしょうか。

設置位置の高さ違いを再現できるよう印刷にしたのだと思いますが、私個人は(実物と多少異なっていても)模型としての精巧さの方が気になるので、KATO(未更新車)のようなモールドが良かったなぁ… と。※あくまで個人の感想です。

(バスコレ・ポポンデッタのエアロキングの比較記事でも書きましたが) 理想はモールド表現で位置によって金型作り分けだと思いますが、コストアップに繋がるので厳しいかと思います。


室内パーツ。
座席は別部品となっており、パッと見では取り外して方向を変えられそうに見えますが、よく見ると先頭車・中間車共に一部の座席が省略されており(省略位置は前後非対称)、そのままでは方向を変えることは出来ません。惜しいことしているなぁ… と。

その他車端部の座席は省略されています。窓越しに見ると室内灯支持用の柱がやや目立ちます。

その他走行性能などについても良く出来ており、問題はないと思います。

 

付属品


※画像クリックで拡大

インレタ。
車番、ATS標記、弱冷車表示、前面番号が収録されています。基本セットBの場合、このインレタ(同じもの)が2枚付属していました。
(追記) ネット上の他のレビュー記事を見たところ、基本セットAも同様にインレタ2枚付属のようです。

一方で、側面行先表示や優先座席ステッカーは付属しません(TOMIX製品の謎の伝統)。これらの表示を再現する場合はサードパーティー製を用意する必要があります。


※画像クリックで拡大

前面表示パーツ。多数の表示が収録されています(左右は同じもの)。

 

KATOとの比較

以前より所有しているKATO製品(未更新車)とも比較してみます。

なおこのKATO製品は細部を加工しているため、一部製品状態とは異なる箇所があります。加工箇所については ※ で記載しています。



左: KATO、右: TOMIX
※KATOは前面スカートの下部中央(実物およびTOMIXでは途切れていて存在しない部分)を細く・薄く削って目立ちにくくしています。その他前面ガラスのワイパー拭き取り跡を軽い傷で再現しています。


実物

前面。
あっさりとしたTOMIX、彫りの深いKATO、という印象です。KATOはやや車高が高く、ライト部分が縦長な印象です。分かりにくいですが、TOMIXは実物同様にヘッド・テールライトを覆う透明カバーがあります。

よく見るとワイパーのアームがKATOは1本に対し、TOMIXは2本なのが再現されています。TOMIXは車体側にもワイパー根元部分のモールドがあります。

その他、帯の色合いが若干異なりますが、これについては後述します。

続いて側面。


KATO  ※床下機器・台車をTOMIXのペイントマーカーで茶色に塗装しています。


TOMIX


実物(更新車)

KATOは昔からある製品ながら、全体の印象把握はよく出来ていると思います。

ただ、帯の青色は色が薄すぎる気がします。気になる場合はサードパーティー(世田谷総合車輌センター)の帯インレタを使用すると良いと思います。

前述のように、半自動ドアボタンはTOMIXが印刷、KATOはモールドです(KATOも更新車は印刷表現)。

側面画像を拡大してみます。


KATO


TOMIX

空気バネ・ヨーダンパと車体との隙間がKATOは大きめなのに対し(昔からある製品なので止む無しと思います)、TOMIXはほとんど隙間が無く、実感的です。またTOMIXは乗務員扉下の梯子が再現されています。

車番等の表記はKATOが印刷済み、TOMIXは前述のようにインレタです。

側面行先表示はKATOがステッカー(画像は未貼り付け)、TOMIXは前述のようにステッカー無しの省略です。KATOは他に優先座席ステッカー等も付属します。


左: KATO、右: TOMIX

屋根上。グレーはKATOの方が濃いめです。TOMIXはあっさりした印象です。

いよいよライト点灯状態を比較してみます。



左: KATO、右: TOMIX

うん… まぁ… そうなりますわな。並べるのが可哀想に思うくらいです。
両者で大きく印象が異なります。設計時期の差が出てしまっています。

ヘッドライトはKATOが黄色LED。TOMIX白色LEDで、前述のようにカラープリズムによる電球色再現です。

KATOはヘッドライト-テールライト間で光漏れがかなりあります。また種別表示、運番は非点灯です。
その他KATOにはライトのON/OFF機能はありません。

 

KATOのライト加工について

KATO製品はライトの点灯機構に物足りない部分があるので、加工を施しています。
※当然ですが、本記事を参考にするなどして加工を行う場合は自己責任にてお願いします。

■光漏れ対策

まずはヘッドライト-テールライト間の光漏れを改善してみます。


内部の基板はこのような構造です。1灯の光源をプリズムで振り分けるのではなく、左右それぞれに2灯づつのLEDが付くという変なつくりあまり見ない構造です。ヘッド・テール間の光源は隣接しており、遮光の仕切りも十分とは言えない気がします。

ヘッドライトのLEDとテールライトのLEDとの間に黒く塗った紙を挟み、光漏れ対策としています。これだけでも見栄えが良くなります。


左: 加工前、右: 加工後

 

■ヘッドライトを電球色に(※難易度高)

上記の光漏れ対策をしても、ヘッドライトが黄色なのはやはり気になります。そこで所有する先頭車の一部は光源を電球色LEDに交換しています。

(以下2枚 交換後)


元々の黄色LEDを撤去し、電球色の高照度チップLEDを元と同様の配置で取り付けました。遮光ケースが一部干渉するので削っています。前述の光漏れ対策も同時に行っています。


書くまでもないですが、右が加工後。
※ライトの電球色化の他、貫通扉のモールドに墨入れをしています。

こんな感じです。雰囲気は大きく変わり、221系らしい雰囲気になったと思います。

ただ私が行った加工には問題点がいくつかあり、光源のLEDが高照度のため光量が多すぎて光漏れがある(画像は停止状態での撮影のため走行中は更に明るくなる)ほか、LEDのハンダ付け時のミスなのか(※)未加工のテールライト側が点灯しなくなっています。

※ただ加工時にテールライト側のLEDを破損した覚えはなく、今回取り付けたヘッドライトのLEDは高照度タイプであるのに対しテールライト側LEDは通常のままで、回路上何かしらのバランスが悪いのか… 等、他の要因も考えられます。電気系はよく分かりません。

ヘッドライトの電球色化は、上記の問題が生じた上に、チップLEDのハンダ付けがかなり細かく骨が折れる作業だったので、1両しか加工していません。

高照度でないLEDもしくは砲弾型でサイズの合うLEDを調達する、光源の配置を変えるなどして、いつか再挑戦しようと思います。

■その他

コテコテに加工したKATOの221系です。


戸袋窓部分の優先座席ステッカーは裏側から貼り付け、側面行先表示はジオマトリックス製を使用しています。

既に書いている床下機器の塗装のほか、扉部分に墨入れ、窓のブラインドは裏側からシール(百均の貼って剥がせるタイプ)を小さく切って貼り付けて再現、車内には人形(KATO製)を載せています。

 

まとめ

TOMIX221系、全体の形状やライト部分を始めとして良い製品だと思います。

とはいえKATOも、昔からある製品ながら造形や印象把握は良く、彫りの深いモールドなどの特徴もあります。ライト部分さえ加工して解決すれば(大がかりな加工になりますが)、大きく変わるのではないかと思います。

何かTOMIX製品のレビューなのかKATOの加工記事なのか分からなくなりましたが、こんな感じになります。ご覧いただきありがとうございます。


<メモ>
2024.03.08  インレタについて、基本セットAも2枚付属らしいので追記